「自称コミュ強」という危険なワナ
「自分、結構コミュ力あるんで!」
こう自信満々に語る人。あなたの周りにも、ひとりはいるのではないでしょうか。自己紹介や飲み会、会社の面接、SNSのプロフィールなどで、このフレーズを口にする人の多くが、“自分は人間関係に強い”という無意識のアピールをしています。
しかし現実はどうでしょうか?「この人、全然空気読めないな」「こっちの話、聞いてなかったよね?」「ああ、自分語りか……」そんな風に、どこかで“ズレ”を感じた経験、誰しもあるはずです。
そう、「自称コミュ強」の人ほど、実はコミュニケーションの本質から遠ざかっていることが少なくありません。むしろ、そう名乗る人ほど、周囲との間に“見えない壁”を作ってしまっているのです。

本当にコミュ力が高い人は、口に出さない
本物のコミュ力のある人は、自分のことを「コミュ強」などとは言いません。それは、相手との関係性や空気感を大切にしているから。
彼らは沈黙を怖がらず、相手の言葉を最後まで聞きます。場のテンションに無理に乗ることもなければ、自分を目立たせようともしません。話すより「聴く」が上手。そして、相手が今、どんな気持ちなのかをさりげなく察しながら、寄り添うように会話を進めていきます。
一方、「自称コミュ強」はどうでしょうか?やたらとテンションが高く、声が大きい。「とにかく盛り上げよう!」と意気込みすぎて、結果的に場の空気を壊してしまうこともしばしば。しかも本人は、そのことに気づいていないのが厄介です。

「コミュ力=面白い話ができる」と勘違いしていないか?
自称コミュ強の人は、「笑いを取れる」「盛り上げられる」「誰とでも話せる」という面ばかりを重視する傾向があります。確かに、それは“陽キャ”として目立ちやすいスキルです。
ですが、それは一部の表面的な能力でしかありません。真のコミュニケーションとは、「相手の気持ちに寄り添い、信頼関係を築く力」です。
- 相手が疲れているときは話題を控える
- 緊張している相手に、安心感を与える言葉をかける
- グループの中で話せていない人に、自然に話を振る
こうした行動こそが、「気づかい」として評価されるポイントです。しかし自称コミュ強は、これを“地味”と捉え、「自分には必要ない」と無視してしまう。結果、「あの人、うるさいだけだよね」「自分の話しかしない」と距離を置かれてしまうのです。

「自称」の裏には、コンプレックスが潜んでいる
なぜ彼らは、自分で「コミュ力高い」と言ってしまうのでしょうか?
実はその裏には、承認欲求や劣等感が隠れている場合が多いのです。自分に自信がない。人から嫌われたくない。周りから「空気読めない奴」と思われたくない。そんな思いから、自ら先回りして「コミュ力高いから!」と主張することで、自分を守っているのです。
しかし、それはあくまでも“自己防衛”。本当にコミュ力がある人は、そうやって自分を誇示する必要がないからこそ、自然体で人に好かれるのです。

無意識に人を遠ざけていないか?
自称コミュ強の人の特徴には、以下のような共通点があります。
- 自分の話ばかりする(聞き役になれない)
- 相手の興味関心を無視する
- 話を盛りすぎる、または嘘っぽく聞こえる
- 「俺ってすごくない?」という雰囲気を出す
- 相手が困っていても気づかない、フォローしない
こうした振る舞いが続くと、知らず知らずのうちに人は距離を取ります。「なんか疲れるな」「この人と一緒にいても落ち着かない」そう感じさせてしまうのです。
本人は「ウケた!」「盛り上げられた!」と満足していても、相手の内心では「もう関わりたくない」と思われている……ということも珍しくありません。

本当に人間関係がうまくいく人は何が違うのか?
本当に信頼される人は、話のうまさよりも、「安心感」を与える力に長けています。
- 無理に喋らない
- 相手の表情をよく観察している
- 沈黙を恐れない
- 笑いのネタより、共感を優先する
そんな人こそ、友達も多く、職場でも信頼され、恋愛や人付き合いでもうまくいく。派手さはないかもしれませんが、深く長くつながる人間関係を築けるのです。
「聞く力」こそが、最大のコミュニケーション能力
結局のところ、話す力よりも「聞く力」のほうが重要です。
聞くという行為には、集中力、共感力、相手へのリスペクトが必要です。それができる人は、自然と相手から信頼され、「この人と話すと落ち着く」と感じてもらえます。
だからこそ、声が大きいとか、話題が面白いとか、そんなことよりも、「ちゃんと聞いてくれる人」であることのほうが、よっぽど価値があるのです。

まとめ:あなたも「自称コミュ強」になっていないか?
もしかしたら、この記事を読んでドキッとした人もいるかもしれません。「自分も、ちょっと思い当たるフシがある…」と。
大切なのは、そこに気づいて、変えていくことです。
自分を良く見せようとするのではなく、相手に寄り添う姿勢を持つこと。無理に面白くしようとせず、自然体でいられること。人との距離感を大切にすること。
それができたとき、あなたはもう「自称コミュ強」ではなく、「本物のコミュニケーション力のある人」として、多くの人に信頼されるようになっているはずです。
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